1. はじめに:なぜ今、補助金を活用すべきか
住宅のライフスタイルや省エネ性能への関心が高まる中、2025年以降、国や自治体では「住宅の省エネ化」「脱炭素化」を推進する政策が強化されています。
こうした方針を背景に、リフォーム補助金制度も毎年更新・拡充されており、うまく使えば工事費用の負担を大幅に軽くできる可能性があります。
ただし、補助金制度は「条件」が厳しく、全部の内装リフォーム工事が対象になるわけではありません。
そのため、「どの工事が補助対象になるか」「どう申請すればいいか」を事前に正しく知っておくことが非常に重要です。
この記事では、2025年時点で使える国の制度を中心に、内装(特に断熱、窓・開口部・省エネ化に関連する工事)に関して補助金を使う方法を詳しく解説します。
2. 内装リフォームに補助金は使えるか?(対象・適用範囲の考え方)
まず理解しておくべきこととして、補助金制度は 目的・政策テーマ に紐づいています。多くの場合、重視されるのは「省エネ性能を上げる」「断熱性能を向上させる」「環境負荷を減らす」「耐久性を改善する」などです。
そのため、単なるデザイン変更・インテリアの美観改善といった工事は、原則として補助の対象外となるケースが多いです。
したがって、内装リフォームで補助金を活用するなら、以下のような工事・要素を含めると対象になりやすくなります:
- 断熱改修(壁・天井・床・天井裏・床下等の断熱材設置)
- 窓・ガラス・サッシの断熱性能向上(内窓設置、ガラス交換、外窓交換など)
- 高性能建材の使用
- 省エネ性を高める設備導入(空調・換気など)
- これらと併せて行う内装仕上げ(クロス張替え・フローリング張替えなど)は、補助金制度によって補助対象工事の一部として認められる場合あり
ただし、制度によって対象範囲や仕様が異なるため、「この程度なら補助対象になるか?」はその制度の細則を確認する必要があります。
3. 2025年に使える国の主要な補助制度(内装・断熱関連中心に)
以下は、国内で2025年時点に使える主要な補助制度のうち、内装・断熱・居住性能向上に関連するものを中心に整理したものです。
(注:制度変更・予算到達で申請受付終了などあり得るため、最新情報は公式サイト等で確認してください。)
3.1 子育てグリーン住宅支援事業(国交省/国・省エネ住宅支援)
- この事業は、新築だけでなくリフォームでも適用される省エネ改修を含む住宅性能向上を支援する制度です。住宅省エネ2025キャンペーン〖公式〗
- リフォームに対する補助上限額:最大60万円/戸(必須工事3つすべてを実施する場合)
- 必須工事のうち2つだけ行う場合は上限40万円/戸になるケースもあります。ちば工業銀行
- 補助対象となる工事例:開口部・外壁・天井・屋根・床下の断熱改修、窓改修、その他の省エネ改修など
- ただし、単なる内装のクロス張替え・床材交換のみでは対象とならない可能性が高く、断熱性能向上などとの組み合わせが求められます。
3.2 先進的窓リノベ2025事業(環境省)
- 窓・開口部の断熱改修を重点的に支援する制度です。環境・省エネルギー計算センター | 環境省エネセンター+住宅省エネ2025キャンペーン〖公式〗先進的窓リノベ2025事業〖公式〗
- 補助上限額:最大200万円/戸(開口部リフォーム工事費用に対して)環境・省エネルギー計算センター | 環境省エネセンターリショップナビ
- 対象工事:ガラス交換、内窓設置、外窓交換(カバー工法/はつり工法)、ドア交換(玄関ドア含む)住宅省エネ2025キャンペーン〖公式〗
- 補助の申請・手続きは、登録された窓リノベ事業者が行う方式で、消費者(住宅所有者)は直接申請できません。先進的窓リノベ2025事業〖公式〗
- 対象製品は、あらかじめ登録された性能基準を満たすもの(対象製品リストに載っているもの)でないと補助対象にならない点に注意。先進的窓リノベ2025事業〖公式〗+2環境・省エネルギー計算センター | 環境省エネセンター
3.3 既存住宅の断熱リフォーム支援事業(環境省)
- 高性能建材を使って断熱性能を改善するリフォーム工事に対して支援がある制度です。
- 補助割合・上限額は、戸建て・集合住宅で異なるケースがあります。たとえば、戸建てで最大120万円などのケースが紹介されています。断熱リフォームの匠リフォスム
- 対象工事例:断熱材、窓・ガラス、外壁・内壁の断熱改修などの組み合わせ。リフォスム+3断熱リフォームの匠リフォームガイド
- 申請タイミング等は、事前申請(工事着手前)を求める方式・公募期間が定められています。リフォスムリフォームガイド日東エネルギーグループの公式コーポレートサイト
3.4 長期優良住宅化リフォーム推進事業 等
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業は、一定の耐久性・維持管理性の向上を目的としたリフォームを支援する制度で、仕様を満たすと補助が出ます。
- 補助上限額は、制度によって異なり、リフォーム内容・規模によって可変。
3.5 給湯省エネ2025事業・賃貸集合給湯省エネ2025事業
- 給湯器や給湯設備の省エネ性能向上を目的とした改修に対する補助制度です。
- 補助される例として、高効率給湯器(エコキュート、ハイブリッド給湯器、エネファームなど)の導入が含まれます。
- 上限補助額例:20万円程度という記載が見られます。
- 賃貸集合住宅向けには「賃貸集合給湯省エネ2025事業」があり、補助対象となる給湯器交換工事などが対象。環境・省エネルギー計算センター | 環境省エネセンター
- 開口部補助や子育てグリーン住宅支援事業との併用も可能(ただし同一機器には二重補助不可)という制度設計もあります。環境・省エネルギー計算センター | 環境省エネセンター
補助制度比較早見表(内装/断熱関連重視)
| 補助制度名 | 主な対象工事/領域 | 補助上限・補助率の目安 | 特記事項・注意点 |
|---|---|---|---|
| 子育てグリーン住宅支援事業 | 断熱改修・窓改修などの省エネリフォーム | 最大60万円/戸 | 必須工事3種の組み合わせ、デザイン改修のみは不可 |
| 先進的窓リノベ2025事業 | 窓・ガラス・サッシ・ドアの断熱改修 | 最大200万円/戸 | 登録事業者を通じて申請、対象製品リストあり |
| 既存住宅の断熱リフォーム支援事業 | 建材・壁・天井・窓など複合的な断熱改修 | 最大 例:120万円/戸 など | 公募方式、事前申請必要な制度あり |
| 長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 耐久性・維持管理性向上を伴う改修 | 内容により変動 | 仕様基準の適合が必須 |
| 給湯省エネ2025事業 | 高効率給湯器など設備改修 | 例:20万円程度 | 他補助制度との併用可能性あり |
| 賃貸集合給湯省エネ2025事業 | 集合住宅の給湯設備改修 | 補助額例:数万円/台 | 賃貸オーナー向け、併用条件注意 |
4. 地方自治体・市区町村のリフォーム補助制度
国の制度以外に、各自治体(都道府県・市区町村)が独自に住宅リフォームに対する補助・助成制度を設けているケースが多くあります。
たとえば:
- バリアフリー化改修(手すり設置・段差解消等)に対する補助
- 内装改修(クロス張替えや床材張替え)を対象とするケース(ただし範囲・上限が小さい場合が多い)
- 地域の環境政策・省エネ政策に連動した断熱改修補助
- 高齢者住宅整備支援に関わる補助
ポイント:
- 自治体ごとの制度は条件・金額・受付期間がバラバラですので、お住まいの市町村の役所・公式ウェブサイトで「住宅リフォーム補助金・助成金(内装・断熱)」のページを検索してください。
- 一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会 の「支援制度検索サイト」は、地方公共団体の補助制度を探す際に便利なツールです。J-Reform
5. 補助金と税制優遇(ローン減税・リフォーム促進税制など)の組み合わせ
補助金と併せて利用できる税制優遇もあります。これらを組み合わせれば、実質負担をさらに軽くできます。
5.1 住宅ローン減税(増改築特例)
- 10年以上の住宅ローンを利用してリフォームを行った場合、リフォーム対象工事費用(補助金を差し引いた額)を対象に、**最大10年間、各年末のローン残高の0.7%**を所得税・住民税から控除できる制度があります。ツギノジダイ
- ただし、適用される条件(リフォーム工事の内容、工事費最低額など)が定められており、補助金を受け取った場合は差し引いて計算する必要がある制度もあります。日東エネルギーグループの公式コーポレートサイトツギノジダイ
5.2 リフォーム促進税制(投資型減税)
- リフォーム工事を対象に、一定額を所得税額から控除する制度もあります。これを「投資型減税」と呼ぶことがあります。ツギノジダイちば工業銀行
- ただし、これは補助金を併用する際、補助金を差し引いた後の工事費用を控除対象とするという取り扱いがある場合があります。日東エネルギーグループの公式コーポレートサイト
5.3 固定資産税減額などの特例
- 一部自治体では、補助対象リフォームを行った住宅に対して固定資産税を一定期間減額する制度が存在することもあります(特に省エネ・耐久性向上改修を伴う場合)。日東エネルギーグループの公式コーポレートサイト+2株式会社グローベルス+2
これらの税制優遇は、補助金制度とは別枠で使えることがありますが、制度によって取り扱いが異なるため、リフォーム前に税務署や専門家に確認しておくとよいでしょう。
6. 内装リフォームで補助金を使う際の流れと注意点
以下は補助金を活用して内装/断熱リフォームを行う際の一般的な流れと注意点です。
6.1 補助金利用の流れ(一例)
- 制度確認・情報収集
‐ 国・自治体が実施している補助金制度を調査
‐ 適用対象工事内容・性能基準・対象建材・申請期間などを確認 - 補助対象事業者・登録業者の選定
‐ 制度によっては「登録事業者」「補助対象製品リスト登録」が必要な場合があります(特に窓リノベ制度など)
‐ 契約前に、リフォーム会社がその補助制度に精通しており、申請手続きを代行できるか確認 - 見積もり・設計段階で要件反映
‐ 補助を受けるための仕様・性能基準(断熱性能・性能グレード・建材仕様など)を設計に反映
‐ 必要な書類(設計書・性能計算、建材仕様書等)を準備 - 着工前の申請(事前申請・予約申請など)
‐ 工事開始前に申請を認める制度では、着工前申請が必須
‐ 「予約申請」を受け付ける制度もあり、予算確保を早期にしておくことが重要(住宅省エネ2025では予約制度あり) - 工事実施・完了
‐ 補助対象工事を仕様通りに実施
‐ 記録・報告用写真、工事前後比較資料などを保存 - 引き渡し後、申請(交付申請・実績報告)
‐ 多くの場合、工事完了後に交付申請を行う
‐ 申請書類の提出、実績報告などを行う - 補助金交付
‐ 審査が通れば補助金が支払われる
‐ 補助金支給までには期間がかかることがある
6.2 注意点・落とし穴
- 申請タイミングを逸するリスク:公募期間や申請締切日、予算上限到達による締切などがあるため、着工前段階から制度を確認する必要があります。
- 制度要件の厳格さ:性能基準・仕様・使用建材等が制度ごとに細かく決められており、それを満たさないと補助対象外となる可能性があります。
- 補助金併用の可否:同一工事に対して複数の補助制度を重複適用できないことがあります(例:窓改修を二重に補助申請できない等)。
- 補助金額上限との調整:工事規模が大きくなると上限に引っかかることがあります。部分工事で要件を満たすように分割して申請可能か検討する必要があります。
- 経費計上・税務処理:補助金を受ける場合、その分を工事費から控除して税務計算する必要がある制度もあります。
- 登録事業者・対象製品リスト確認:制度によっては、登録業者でないと申請できない、また対象製品リストに載っていない製品は対象外という制限があることが多いです。
- 自治体制度の優先・調整:国制度と自治体制度を併用する場合、制度同士の調整規則(順序・範囲・制限)を確認する必要があります。
7. 事例で見る適用可能な内装リフォーム内容
以下は、実際に補助金を活用できる可能性がある内装・断熱改修の具体例です。
| リフォーム内容 | 補助対象になり得る制度 | 条件・ポイント |
|---|---|---|
| 内窓設置(既存窓の内側に二重窓を設置) | 先進的窓リノベ、子育てグリーン住宅支援、断熱リフォーム支援 | 適用する窓・ガラス仕様が制度の性能基準を満たすこと |
| ガラス交換(断熱ガラス化) | 先進的窓リノベ、断熱リフォーム支援 | 補助対象製品リスト登録済製品であること |
| 外窓交換(カバー工法・はつり工法) | 先進的窓リノベ | 登録業者を通じて申請 |
| 玄関ドア断熱改修 | 先進的窓リノベ、子育てグリーン住宅支援 | 対象ドア仕様を満たすこと |
| 壁・天井・床の断熱材追加(内側または床下) | 子育てグリーン住宅支援、断熱リフォーム支援 | 断熱材の性能が制度基準を満たすこと |
| 断熱性能を向上させる内装改修(壁材・仕上げ材含む) | 当該制度の「併設工事」として認められるケース | 断熱改修や省エネ改修と一体として行うことが前提 |
| 換気・空調設備の更新(高効率機器) | 子育てグリーン住宅支援、給湯省エネ事業など | 設備仕様が制度基準を満たすこと |
このように、窓・ガラス・断熱改修が補助金対象の中心ですが、それに付随する形で内装仕上げを組み込むことで補助範囲を広げることができます。
8. よくある質問と回答
Q1. 内装のクロス張替えやフローリング張替えだけで補助金は使えますか?
A. 原則として難しいです。補助制度の主目的は「住宅性能向上」「省エネ化」「断熱改修」であるため、デザイン・美観目的のみの工事は補助対象外となるケースが多いです。ただし、補助対象改修と併設される副次工事として認められる場合があります。
Q2. 補助金と補助金の併用はできますか?
A. 同一工事に対して二重に補助を受けることは原則認められません。ただし、異なる制度・項目での併用が可能な場合もあります。制度ごとの併用条件をチェックする必要があります。
Q3. 補助金はどのくらいで交付されますか?
A. 補助金交付には審査期間がかかるので、工事完了後から交付まで数ヶ月程度かかるケースがあります。制度によっては、途中で申請書類の修正を求められることもあります。
Q4. 申請は自分でできますか?
A. 多くの制度では、事業者(登録業者・補助対象事業者)が申請を代行する方式となっており、施主(消費者)が自分で申請することはできない制度もあります。特に窓リノベ制度では、そのような形態です。先進的窓リノベ2025事業〖公式〗+1
Q5. 補助金申請後に工事仕様を変更しても大丈夫ですか?
A. 原則は認められないか、補助対象外となるリスクがあります。仕様変更は必ず事前に制度担当者・業者と相談し、許可を得ることが必要です。
9. まとめ:補助金を活かして賢くリフォームを実現しよう
- 2025年には、住宅省エネ2025キャンペーンをはじめとする国の補助制度が実施されており、省エネリフォーム・断熱改修系の工事に対して高額な補助が期待できます。
- ただし、補助対象になる工事内容・仕様・性能基準・登録業者要件などは制度ごとに細かく定められており、それらを満たさないと補助金を受けられないリスクがあります。
- 内装リフォームを検討される際は、断熱改修・窓改修を中心とした内容を含めて設計することを前提に、補助金制度を上手に活用するとよいでしょう。
- また、地方自治体の補助制度も併用可能な場合があるため、国制度に加えて地元の制度も忘れずに調べましょう。
- 最後に、補助金制度は予算上限到達や申請期限の繰り上げ等があるため、早めに準備し、信頼できるリフォーム業者に相談・依頼することが成功のカギです。